研究課題
本研究グループはセクシュアリティ/ジェンダーと、階層・階級、人種・民族、地域、国籍といった軸との交差に焦点をあて、日本におけるクィア・スタディーズを展開している。理論班では、ジェンダーやセクシュアリティの構築において「クィア時間」や「クィア空間」概念に代表される、時空間との関連性を追求する必要性を確認した。英米圏と比べ日本ではクィア・スタディーズと障害学との間で学術的対話が活発でない現状も明らかになった。生活班では、3地域の大学生に調査票調査を実施した(有効回答数726件)。同性愛やトランスジェンダーへの意識や態度を尋ねた項目の因子分析をした結果、「感覚的差別」「寛容さ」「親密感」「制度的差別」「セクシュアリティ規範」「人権意識」の6因子が抽出された。6因子を基に分散分析を行った結果、「日本人は優れた素質を持つ」と考える人のほうが、同性愛者やトランスジェンダーに「感覚的差別」意識をもち、同性愛者と「親密」になることに抵抗感をもつことがわかった。健康班では、①男性同性愛に関する言説分析、②男性同性間性行為とリスク行動に関する言説分析、③性的少数者を対象とした対人支援活動の参与観察と自死リスクに関する理論的研究、を進めつつ、「健康」阻害要因の共通点を探り、学会報告および論文執筆を行なった。教育班では、11月から1月まで全6回にわたる公開講座を開講し、平均して毎回60名前後の出席者を得た。また、これまでの公開講座で得られたフィードバックおよび「クィア・ペダゴジー」に関する学術的論文の検討をもとに、国際学会において報告を行った。法律班では、 (1)性同一性障害者特例法の読み直しに関する成果の英語での講演・公刊、(2)同性間パートナーシップをめぐる国内外の議論の整理及び国際法の視座からの分析、(3)国内法制における異性愛主義と性別二元制を包括的に分析する論文の執筆、をおこなった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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福音と世界
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