研究課題/領域番号 |
22510298
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
池内 靖子 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (80121606)
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研究分担者 |
梁 仁實 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (20464589)
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キーワード | 帝国/植民地近代 / 文化表象 / 舞台化・映画化 / ジェンダー / セクシュアリティ |
研究概要 |
23年度は、本研究参加者は、京都において3回共同研究会を開いた。また、本研究目的と関連し、海外における研究発表の場を得て、それぞれ活発に研究を行っている。代表者、池内は、デンマークの美術館におけるシンポジウムにゲストスピーカーとして招待され、帝国・植民地時代の遺産に抵抗するコリアン・ディアスポラの女性アーティストの作品について研究発表を行った。研究分担者の梁仁實は、帝国日本の'朝鮮'想像と文化ディスコースの再構成にかんする韓国の東国大学ワークショップで、「在朝日本人と映画」というテーマで植民地朝鮮における日本人映画人について研究発表を行った。またUniversity of British Columbia(カナダ、バンクーバー)で開かれた第10回国際韓国研究学会において、「帝国日本を浮遊する映画(人)たち」について研究発表を行っている。台湾の研究協力者、李文茹は、論文、「植民地台湾における日本人農業移民-坂口〓子の移民三部作をめぐって」を韓国の高麗大学校の研究誌『日本研究』(韓国語)に投稿した。また、台湾仏教慈済大学中央キャンパスで開かれた第六回花蓮文学シンポジウム「溯源與奔流-花蓮文學百年」で、「當代台灣與日本女性作家的「殖民地」台灣記憶書寫-論《風前塵埃》與《太過野蠻的》」という研究発表を行っている。 さらに、代表者、池内は、立命館大学国際言語文化研究所連続公開講座「歴史のなかの感覚変容」において、第3回の連続講座、「恋愛小説と映画をめぐる感覚変容-日韓台の帝国/植民地近代」を組織し、研究発表の場を開いた。研究発表は、それぞれ、梁仁實「1930年代日本帝国内における文化「交流」:「春香伝」の受容を中心に」、李文茹「毛断・文明・恋愛と植民地台湾:1930年代の〓南語流行曲をめぐって」、大西仁「1930年代の台湾における小説」である。 これらは、本研究における23年度の重要な研究実績であり、『立命館言語文化研究』誌にまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定した通り、植民地期以降の韓国映画・演劇、台湾映画の文献資料を収集し、研究会や公開講座、シンポジウムなどで、研究発表を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
帝国/植民地期の日韓台三地域に共通して流通した大衆小説やメロドラマの舞台化及び映画化に着目し、文化表象の混淆と差異化にジェンダー及びセクシュアリティの構築がどのように関連しているかを明らかにすることを目的にしているが、これまでの2年間に集めた資料から、帝国/植民地近代における文化創造と交渉に焦点を当てつつも、むしろ現代において、帝国/植民地期を背景とした、あるいはその時期を振り返る作品が生み出されていることが明らかになったため、その点に注目し、考察を深める。
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