本研究の目的は、船舶の世界においてジェンダー形成がいかにして行われてきたのか、今後、海運界ではジェンダーはどのように認識されるべきかということを、欧州と日本を中心に国際的に比較しつつ分析することである。具体的には、海事史において女性船員がどのように存在してきたかを考察し、さらに現在の欧州の国々と我が国における女性船員の状況と海事教育機関の女性船員育成の取り組みを分析する。最終的には、船舶における女性船員の存在意義と社会的受容を過去から現在へと系統的に論じた。 本年は、欧州諸国と我が国の海事教育機関では女性船員を海運界に送り出すためにどのような育成がなされているのか、あるいは不足している点は何かということを調査し、国際的に比較検討した。前年度に収集した海事教育機関における女性船員育成の取り組みの資料をデータベース化する作業が中心となった。教育機関ごとにカリキュラムをベースとして、女性船員育成に関わる取り組みについて検証し、女性船員を海運界に送り出すためにどのような育成がなされているのか、あるいは不足している点は何かということを考察した。さらに、国内の大学・大学校・商船高専・海技短大・海技学校など、「商船系」の海事教育機関の調査を実施した。得られた結果は、教育機関ごとにデータベース化して、今後、様々な状況で活用できるような体制を作った。
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