研究課題
1.アリストテレス『ニコマコス倫理学』第10巻の、観想の生活が第一次的な幸福であるという主張は解釈論争のもととなったが、第8・9巻のフィリア(愛・友愛)論から第10巻への接続の意味を考え全巻の構成仮説を作ることによって、倫理的実践の意義をアリストテレスが認めつつ、その上に立つ理論活動が幸福の理想を与えると考えたと解釈し、「アリストテレス倫理学における「共同性」と「観想の優位」の関連について」で発表した。またプラトン『テアイテトス』が『二コマコス倫理学』第5巻以後の後半部の構成に与えた影響について論じた。正義論を詳しく解釈し、フロネーシス論へ、さらにはフィリア論への展開を跡づけ、アリストテレスは『テアイテトス』の「神の似像」の議論から善への全面荷担と幸福の関係に関する洞察を学びつつ、「人柄の徳」を立てることによる教育上の新提言方法を開拓したと論じた。論文「『ニコマコス倫理学』における正義と「知」の関係」を2014年秋紀要に掲載する。2.アリストテレス徳倫理学関連業績である現代徳倫理学論文「倫理、身体、教育」を2013年6月に提出した。また現代徳倫理学の翻訳論文集が2014年秋に出版予定であり、マーサ・ヌスバウムのNon-relative Virtuesの翻訳を掲載する。原稿は編者に提出済であり、これから編集・校正になる。その後上記論文も出版される予定である。3.同一指定論に関する英文論文は完成していない。近日中に完成する予定である。4.2013年哲学会シンポジウム「真理の再生」提題者として発表した。2014年の『哲学雑誌』に「真理の議論の重層化の必要性について」という論文を掲載する。現代真理論は自然言語の意味論との関係が固定的だが、古代では人間の存在を解明する議論としての真理論も重要であり、再評価する必要があるという趣旨である。なおこの内容は上記3の同定論を含む。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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哲学雑誌
巻: 129巻801号(掲載確定), (依頼原稿)
茨城大学人文学部紀要『人文コミュニケーション学科論集』
巻: 17号(掲載確定)
巻: 15号 ページ: 280‐308(1-29)
http://hdl.handle.net/10109/4588
http://info.ibaraki.ac.jp/Profiles/3/0000263/profile.html