新たな日本語版『アリストテレス全集』において『分析論後書』の翻訳と注解・解説を担当することになったため、規範性という問題を中心にエネルゲイア概念について検討することとなった。(1)知識論における規範性を考える上での核となる『分析論後書』の翻訳と注解をほぼ完成し、遅くとも来年度には刊行される。(2)メタ倫理における実在論と反実在論との論争を直接に実在性に関わる論争としてではなく、倫理学における規範性の問題を、知識論における「理由」とある意味でパラレルに考える立場について検討し、問題が依然として未決であることを論じた。(3)ことがらの概念的把握が、少なくともある種の場合には「発見」でも「約定」でもなく、いわば「自ずから」という位相にあることを、「死」という問題を検討しつつ論じた。
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