研究課題/領域番号 |
22520012
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
柏端 達也 千葉大学, 文学部, 教授 (80263193)
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研究分担者 |
美濃 正 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70181964)
篠原 成彦 信州大学, 人文学部, 准教授 (60295459)
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キーワード | 哲学 / 知覚 / 色彩 / 心の哲学 / 認識論 / 形而上学 |
研究概要 |
研究実施計画に基づき、22年度はまず、本プロジェクトにおける知覚の哲学各部門(心の哲学、言語哲学、形而上学)の、基礎的な中心問題の抽出と検討を行なった。それらの問題のうちのいくつかはすでに知られた比較的標準的なものであるが、研究分担者の篠原成彦は、とくに視覚の哲学の色彩論に関連して、形而上学的意義をもつ複数の知見を得た。その成果は、二つの学会にて講演および発表する機会を得、また当科研費の研究会においても報告された。 代表者の柏端達也と分担者の美濃正は、それぞれの研究部門において当初の計画に沿った研究課題に取り組んだ。さらに篠原の上記諸成果を受ける形で、(1)知覚の表象説(志向説)の理論的是非と、(2)視覚に関する可能世界的意味論に基づく理論化の可能性を、今年度後半の主要な検討課題とするに至った。 12月に行なわれた研究会では、外部から1名の講演者を迎え、またさらに3名の研究協力者(小草泰、藤川直也、前田高弘)の協力を得て、代替的理論との比較を含むより包括的な観点から、上記の検討課題に具体的に取り組んだ。 平成23年8月に行なわれた研究会(震災により延期された3月の研究会の代替)では、聴覚の哲学と音の存在論に関する専門家1名を講演者として招き、さらに、研究協力者(小草、藤川、前田)と研究分担者の美濃と篠原を講演者として、公開の形で討論会および研究成果報告会を行なった。 22年度の研究によって、色彩の存在論的な身分や、あるいは視覚における曖昧さといった現象に対して様相実在論的な哲学理論がもつ問題点は明確になっており、またそれらの事柄が表象説に対してもつ論理的帰結が明らかになった。加えて、聴覚や痛覚といった他のモダリティにおける同様の、または関連する問題に取り組む必要性も(次年度以降の課題として)明確になった。
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