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2010 年度 実績報告書

近現代ロシアにおける存在論的な意識・知性理解と倫理的関心についての研究

研究課題

研究課題/領域番号 22520015
研究機関横浜国立大学

研究代表者

大須賀 史和  横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (30302897)

キーワードロシア / 存在論 / 倫理的関心
研究概要

本研究計画では、近現代のロシア哲学・思想における存在論的な観点からの意識ないし知性の理解のあり方と、それに関連した倫理的関心のあり方を解明することを目的としている。今年度は主として資料調査とそれらの予備的な考察を行った。まず、資料調査としては、9月にロシア連邦モスクワ市のロシア国立図書館で資料調査を行った。この時にはモスクワ大学アジア・アフリカ言語校で大学院生を対象とする関連講義も行った。また、3月にも同地で補足的な調査を行った。
得られた資料の予備的考察として、メラブ・ママルダシヴィリ(1930-90)の70年代から80年代にかけての論考「知識という出来事についての空間的・時間的現象学に寄せて」の読解と分析を行った。旧ソ連時代にはマルクス主義的な史的唯物論の考え方から、歴史的事象には一定の物質的基盤に依拠した必然性があるという観点が取られる傾向がある。しかし、ママルダシヴィリは科学的な発見のような知識の獲得をこうした必然性によって説明することでは不充分であるとし、科学的発見の一回性、すなわちそれまで存在しなかった知の配置が生じたことの意義を重く見ている。そして、それを「自由」とも表現しているように、ある特定の個人という存在において特異的な知の発生が生じることを重く見ている。実際の表現は極めて晦渋であるが、こうした論点を個人という存在の超越的契機と合わせて考えようとしているという点でソ連時代には否定的に捉えられる傾向のあったデカルトやカントにおける個の存在という問題に立ち返ろうとしたと考えられる。次年度以降には、こうした試みがどのように展開したかを検討したい。
研究成果としては、本研究計画でも分析対象としているA.F.ローセブのエイドス論について、これまでに蓄積した検討に依拠する論文を3本、また関連研究を含む学会報告2本の成果を挙げた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 『名の哲学』におけるシンボル-エネルゲイア理論とその広がり2010

    • 著者名/発表者名
      大須賀史和
    • 雑誌名

      ロシア思想史研究

      ページ: 69-84

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Объект и идеап-реализм в философии серебряного века2010

    • 著者名/発表者名
      大須賀史和
    • 雑誌名

      Античность и культура Серебрянного века

      ページ: 450-457

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Acutualite de la philosophie du langage d'A, F, Losev2010

    • 著者名/発表者名
      大須賀史和
    • 雑誌名

      Slavica occitania

      巻: 31 ページ: 45-55

    • 査読あり
  • [学会発表] ベルジャーエフの思想と亡命2011

    • 著者名/発表者名
      大須賀史和
    • 学会等名
      日本ロシア思想史学会
    • 発表場所
      早稲田大学
    • 年月日
      2011-01-29
  • [学会発表] ロシアの哲学・思想における古典-20世紀初頭を中心に2010

    • 著者名/発表者名
      大須賀史和
    • 学会等名
      日本スラヴ人文学会
    • 発表場所
      東京外国語大学
    • 年月日
      2010-07-10

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公開日: 2012-07-19  

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