「即の論理」として、主として(一)華厳思想における、無限個の事物の間の「即」関係と、(二)空の思想における、有限個の概念の間の「即」関係において見てとれる「論理」を、現代の非古典論理のツールを用いて分析した。(一)に関して、より具体的には、法蔵等の華厳思想家が「十数のたとえ」において展開した「一即一切」思想における「即」関係を、「偶然的同一性」と解釈し、様相論理学を用いて定式化した。また(二)については、西谷啓治が論文『空と即』で論じた回互的連関における「即」関係を、「二重の矛盾」として解釈し、否定不動点を持つ三値論理型のパラコンシスタント論理を用いて形式化することに成功した。
|