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2011 年度 実績報告書

意味の全体論とドイツ観念論

研究課題

研究課題/領域番号 22520023
研究機関大阪大学

研究代表者

入江 幸男  大阪大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70160075)

キーワードフィヒテ / カント / クワイン / 分析判断 / 総合判断 / アプリオリ / アポステリオリ
研究概要

二年度の今年度は、フォーダーとルポアの『意味の全体論お買い物ガイド』の精読と、クワインの意味の全体論の検討を行い、それにもとづいて、フィヒテとクワインの比較、およびカントとフィヒテの判断論の比較を行った。
フィヒテとクワインは、もし意味の全体論を「弱い意味の全体論」と「強い意味の全体論」にわけるとすると、ともに「強い意味の全体論」を取ることが検討の結果が明らかになった。また、意味の全体論を採用しながらも、他方ではクワインは理論の中心部と周縁部を分けるのとどうように、フィヒテもまた意味の全体論を採用しながらも、知識学の原則という中心的命題とそれから導出されるその他の定理にわかれるなど、類似した点がみられることも確認した。
フィヒテが意味の全体論を採用しているとすると、フォーダーとルポアが指摘するように、フィヒテは分析判断と総合判断の区別を否定する必要がある。そこで、フィヒテにおける分析判断と総合判断の区別を、カントとの比較しながら詳細に検討した。そこから得られた成果は、分析判断と総合判断の意味がカントとフィヒテでは異なっているということである。フィヒテにとっては、すべての判断が総合判断なのである。これに対してカントは、分析判断と総合判断を分けるので、意味の全体論にはならないとみなされている。しかし、カントの意味の分析判断と総合判断であれば、それを仮にみとめたとしても、それと意味の全体論は両立することがわかった。カント哲学が意味の全体論でないのは、アプリオリな判断とアポステリオリな判断の区別によることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

意味の全体論の研究成果をナンシーで開催の論理学・科学法論学会で発表する予定であったが、時期的に他の所要と重なり出席できなかったが、2012年4月に開催されたOmahaでのInternational Collgress of Kant and Fichte and Legacy of Geman Idealismで発表し、有益な質疑もできたので、研究成果の発表についても、概ね順調にすすめることができた。

今後の研究の推進方策

次年度は、最後の年度になるので、成果を報告書にまとめる予定である。また、9月にボローニャで開催される国際フィヒテ協会の大会で、フィヒテと意味の全体論についての研究の続きを発表する予定である。またそれと関連したテーマで、日本フィヒテ協会の秋の大会シンポジウムでも発表の予定である。
Identity Sentences as Answers to Question in Philosophia Osaka, Nr.6, Published by Philosophy and History of Philosophy/Studies on Modern Thought and Culture Division of Studies on Cultural Forms, Graduate School of Letters, Osaka University, 2012/3, pp.79-94

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Identity Sentences as Answers to Question2012

    • 著者名/発表者名
      Irie Yuki
    • 雑誌名

      Philosophia Osaka

      巻: Nr.6 ページ: 79-94

  • [備考]

    • URL

      http://www.let.osaka-u.ac.jp/~irie/

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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