本研究は、わが国において未だ十分に確立されているとは言いがたい歯科医療倫理を構築するための基盤的研究である。平成24年度は、よき歯科医師になるために学生が身に付けるべき資質や能力を明らかにするために平成22年度に船橋にて全国の歯学部・歯科大学の教員18名の参加を得て開催したワークショップの暫定プロダクトをもとに、「よき歯科医師になるための20の質問:振り返りをとおして、よき歯科医師に求められる態度を身につける」を作成した。また、ワークショップの参加者に収集ないしは作成を依頼していた臨床実習を含む大学教育や卒後の臨床研修で遭遇しうる倫理的問題事例について本研究の連携研究者である日本歯科医学教育学会の倫理・プロフェッショナリズム教育委員会の委員でブラッシュアップした。 それらの成果は『「よき歯科医師になるための20の質問:振り返りをとおして、よき歯科医師に求められる態度を身につける」および「倫理的検討事例集」』(2013年度版)として冊子にまとめた。 冊子は平成25年5月に全国の歯学部・歯科大学および関係者に配布予定であり、また本研究の経緯および成果について7月に北海道で開催される日本歯科医学教育学会にて連携研究者によって発表される予定である。 なお、23年度は今後ますます増加する訪問歯科診療の倫理的問題点に関するワークショップを訪問歯科診療を実施している開業歯科医2名を招いて24年2月東京にて開催するとともに、3月に岡山にて患者中心の医療とは何かに関するワークショップを開業医1名を招いて岡山生命倫理研究会と共催して開催したが、それらについては22年度行った抜去歯の教育・研究利用とともに、今後継続して研究を進める予定である。
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