平成22年度交付申請書に記載した「研究の目的」「研究実施計画」1、2-(1)(2)(3)、3に沿って研究を進めた。2-(3)については、佐藤幸治教授が最新の著書を平成23年に出版する予定であるという情報を得たため、1、2-(1)(2)、3の遂行を優先させた。 1.申請時の準備研究の検証と平成22年度の研究の方向づけ 準備研究での根本課題の形而上学的考察を進め、独自の研究の方向性を確認した。 2.平成22年度の課題の取り組み (1)基本文献・最新の研究文献を収集して検討を加えた結果、二つの結論を得た。(1)自分の独自の構想と考察方法が妥当であること、(2)国際性が不可欠であること。 (2)とくにDetlef Thiel博士との共同研究に二つの大きな成果があった。一つ目は、Thiel博士と共著で『ザーロモ・フリートレンダー/ミュノーナ』(中村博雄訳)と題した著書の出版が決まったことである(2012年7月、新典社)。フリートレンダーは20世紀初頭の思想家(平和論・教育論)で、この人の紹介書は日本初(ドイツ国外では世界初)となる。二つ目は、Thiel博士の仲介でlibri negri/Denken uber Grenzenという叢書の1冊の担当が決まったことである(ドイツ語による中村博雄の単著)。Fur den Friedenと題して準備を開始し、平成24年度中ないしは25年度中に出版できるように考察と執筆を進めている。これは、本科研費研究の成果を世界に問う絶好の機会となるものである。 3.平成23年度に向けて 平成23年7月にグラーツで開催される第13回国際18世紀学会で口頭発表できることが決定し、それに向けて研究論文を完成させた。題目:Kants padagogischer Entwurf zum ewigen Frieden-"Erziehung zur Personlichkeit".この論文は、本科研費研究の主旨をドイツ語でまとめたものであり、上記著書Fur den Friedenのレジュメにあたる。
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