研究課題/領域番号 |
22520039
|
研究機関 | 長野工業高等専門学校 |
研究代表者 |
中村 博雄 長野工業高等専門学校, 一般科, 教授 (90141887)
|
キーワード | 平和 / 教育 / 人格 / 自由 / 人格的自立 / 日本国憲法 / 教育基本法 / 人格教育 |
研究概要 |
年度当初に提出した交付申請書「研究実施計画」1~3に沿って平成23年度の研究成果を報告する。 1.国際学会で口頭発表 第13回国際18世紀学会(オーストリア・グラーツ大学、平成23年7月25日~29日)で、Kants padagogischer Entwurf zum ewigen Frieden- "Erziehung zur Personlichkeit"と題して口頭発表した(7月26日)。本発表論文の結論部は、本科研費研究全体の結論の要約にあたる。当日の発表およびそれに対する会場での議論は、下記3の著書Fur den Friedenの最終節の執筆、とくに§35.Personlichkeit als springender Punkt der Erzie-hungおよび§36.Erziehung zur Personlichkeitの記述に生かされている。 2.翻訳書原稿の入稿 平成23年11月に、翻訳書『理性と平和-ザーロモ・フリートレンダー/ミュノーナ政治理論作品選集』(ハルトムート・ゲールケン、デートレフ・ティール、中村博雄共編/中村博雄訳)の原稿を新典社に入稿。平成24年2月初稿、4月再校。5月中に三校を終え、7月までの出版が予定されている。あわせて、現在すでに『図書新聞』への書評の掲載が決まっている。また、共編者のゲールケン氏の企画で、ドイツでも本書の出版が紹介されることになっている。 3.ドイツ語著書の出版 デートレフ・ティール氏の依頼を受けて執筆を進めていた著書Fur den Frieden(日本語訳『平和のために』)について、哲学叢書libri nigri(出版社Traugott Bautz)の編纂者Hans Rainer Sepp教授(プラハ・カールス大学)から、叢書のNo.33として出版されるとの連絡を受けた。現在、最終チェックをおこなっており、平成24年中には入稿、遅くとも平成25年度中にはドイツで出版される予定である。同書は、これまでの科研費研究の総括であるばかりでなく、その成果を世界に問うものである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上記9「研究実績概要」に記したように、平成23年度の「交付申請書」に記載した3項目の「研究目的」は完全に遂行された。とくに、3について、哲学叢書libri nigriの叢書番号(No.33)が決まることによってドイツでの出版が確定し、当初の計画以上の成果となった。本科研費研究の期間内にドイツ語著書をドイツで出版できる見通しがついたことは、想定外の大成果である。
|
今後の研究の推進方策 |
上記9「研究実績概要」に記載した2冊の著書に対しては、他の専門分野からさまざまな反響があるものと予想される。翻訳書『理性と平和』については、ドイツ文学の研究者と協力してさらに他の作品を翻訳するという計画が進行中である。また、ドイツ語の著書Fur den Friedenについては、日本の読者向けに日本語訳ないしは解説書を書いてほしいという要望があり、すでに構想を練り始めている。そこで、これらの計画を進め、平和教育論研究をさらに進展させるために、平成25年度にむけて、「フリートレンダーの平和教育論に見るカント永遠平和論の可能性と課題」(仮題)というテーマで新たに科研費申請したいと考えている。
|