「平和教育」の理念の本質は、「人格教育」にある。カントによれば、「人格」とは、「道徳法則」の主体、すなわち、「平和」の「存在根拠」たる「自由」の「認識根拠」の主体である。日本国憲法の精神に則って制定された「教育基本法」(2006)第1条および第2条五が謳う「平和」「人格」の哲学的根拠は、「平和」を究極目的とするカントの道徳目的論的教育学によって裏づけられる。「人格教育」のために第1に求められることは、教育関係者自身の「人格性」、すなわち「自己の完成」「他者の幸福」という「道徳目的論的自覚」である。
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