研究課題/領域番号 |
22520041
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
井澤 耕一 茨城大学, 人文学部, 准教授 (00455908)
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キーワード | 南宋 / 士大夫 / 経書 / 上海図書館 / 紙背文献 / 朱子学 / 陳堯道 / 経学史 |
研究概要 |
宋代、特に南宋末期の士大夫の経書理解に関して交付申請書に基づいた研究を行い、上海図書館蔵紙背文献の解読、その著者である陳堯道の事績および彼に関連した南宋末期の士大夫達の活動調査などを実施した。 1国内史料調査 9月15日~20日、11月5日~6日、関西大学総合図書館及び大阪府立図書館において、紙背文献の著者である、陳堯道の事績および彼が生きた南宋時代に関わる史料調査を行った。 3海外史料調査及び史跡調査 3月1日~10日まで、江西省撫州市、金渓県、東郷県、漸江省温州市、杭州市において、朱子学及び宋代学術史に関する史跡調査を行った。その後上海図書館において陳先行氏と面会し、紙背文献についての意見交換を行い、紙背文献およびそれに関連する史料の調査を行った。 4国際シンポジウム参加 10月19日・20日、江西省九江市で開催された「哲学与時代:朱子学国際学術研討会」に参加。「南宋末期士大夫的『四書』解釈研究-通過解読上海図書館蔵『金匱要略方』的"紙背文献"」という題目で発表し、中国の研究者に紙背文献の存在を広く知らしめた。 5訳注作成 清末の学者劉師培が著した『経学教科書』の訳注を作成し、『茨城大学人文学部紀要 人文コミュニケーション学科論集』第11、12号にて発表し、宋代儒教の経書学史の一つの「見取り図」を提示した 6その他 平成23年度の研究成果欄に示すように、代表者は、自らの研究領域において、上記以外の研究成果を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
紙背文献の解読作業につき、PCによる解読作業、図書館での実見は今年度完了し、国内外の所蔵機関における史料調査も順調である。
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今後の研究の推進方策 |
本件課題申請時においては、綴じ糸を切断した上での紙背文献解読を目標にしていたが、今般、図書館より表側の明・呉遷写本『金匱要略方』三巻を『国家珍貴古籍名録』に登録する申請が出されたため、切断作業の実行はかなり困難になってしまった。現在のところ、PC及び実見作業によって、全体の3分の2以上の解読が完了しているので、今後は解読済み箇所の精読と同時代に出版された他の『大学』『中庸』注の調査・分析を行い、それによって陳氏注全体の思想的傾向を明らかにしていこうと考えている。
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