黄庭堅の絵画理論における気と形の問題について、本研究では「胸中の丘壑」という考え方を中心にして考察した。胸中の丘壑とは、画家の心の中に丘壑、あるいは山水があって、それがもとになって、山水画が描かれるという、画家の心の中の山水のことである。これは、これもよく知られる「胸中の竹」という発想とともに、宋代に大きくクローズアップされて、中国山水画理論の中心的概念としてよく知られるが、それがそのもそもいかなるものであったのかを再検討し、この概念の形成における黄庭堅の位置、意味を明らかにしたことが本研究の大きな成果である。なお、研究に平行して、山谷画跋についての訳注を作成した
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