平成24年度は曹洞宗の寺院調査として大中寺(栃木県大平町)・乗国寺(茨城県結城市)・楞厳寺(愛知県刈谷市)・西光寺(埼玉県小川町)・大安寺(長野市)、また資料館としては真田宝物館(長野市)、また真言宗豊山派寺院の六地蔵寺(水戸市)においてそれぞれ中世の相伝資料(代語・門参等)について撮影を行った。これらの資料は翻刻されていない資料がほとんどであり、とりわけ六地蔵寺の禅籍は資料的価値が高い写本であると考えられる。現在プリントアウトしてこれらの資料を分析中である。 また本年度は曹洞宗の文献としては松庵宗英の代語集について翻刻ならびに書き下しを行っている。また門参文献としては大安寺蔵の『法門集』をはじめとする快庵派の文献について研究を進めている。さらに江戸時代の正法眼蔵の研究家として知られ西有り穆山などを出した月潭全龍の語録を翻刻、書き下しをして出版した。また臨済宗の文献としては南源宗薫の臨済録抄について他の妙心寺派の臨済録抄と比較検討しつつ、翻刻作業を行っている。これらの禅籍についての研究成果は次年度以降にその研究成果を公開する予定である。 また松ヶ岡文庫における資料調査の打ち込み作業についても引き続き継続作業をしており、約六千点の禅籍を中心とした和漢書の書誌データの大部分を入力することができた。この調査の成果の一部については「松ヶ岡文庫所蔵の禅籍について」として『松ヶ岡文庫研究年報』第27号に掲載発表した。
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