本年度は,昨年度に引用整理とデータ入力が終了しなかった①日本華厳宗章疏での海東章疏の引用整理とデータ入力,②日本仏教各宗の総合目録及び蔵書目録中にみられる海東章疏の一覧表を作成し,日本華厳宗に関しては10月に,目録類に関しては3月に成果発表を行うこと,また同時並行として鎌倉新仏教の中で浄土真宗・日蓮宗諸師章疏の引用整理を行うこと,さらに昨年度に成果発表している③『日本三論宗・法相宗にみられる海東仏教認識』に関しては,二宗の海東仏教認識の特徴とその相違について日本印度学仏教学会で研究発表し,④鎌倉新仏教の中の日蓮の海東仏教認識については日本宗教学会で研究発表する予定であった. 上記のうち①・②関しては,一昨年度の『日本天台宗にみられる海東仏教認識』(日本仏教各宗の新羅・高麗・李朝仏教認識に関する研究;第1巻)・昨年度の『日本三論宗・法相宗にみられる海東仏教認識』(同上;第2巻)に続く,『日本華厳宗にみられる海東仏教認識』(同上;第3巻)・『諸宗章疏目録類にみられる海東仏教認識』(同上;第4巻)として成果発表を行う予定であったが,研究代表者の不測の病気による長期入院のため,当初の予定を完遂し得ず,第3巻の成果発表に止まることとなった.ただし③・④に関しては,予定通り研究発表を行っている. 本研究の目的は,国内的には19世紀末までの日本仏教各宗の海東仏教認識を明らかにすること,日本仏教思想史における海東仏教の影響を明らかにすること,そして日本での海東仏教研究の重要性を指摘することである.また対外的には,海東仏教研究に際しての日本仏教研究の重要性,とくに東アジア仏教研究者に対して,日本仏教研究の必要性を提起することである. 本研究は研究代表者の事情により当分の間中断せざるを得なくなったが,上記の目的を達成するためにも近いうちに再開されなければならない.(金炳坤記)
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