ジュニャーナシュリーミトラ「主宰神論」の解明という課題の中で、平成22年度の研究計画は a.ドイツ(ゲッテインゲン)での写本調査. b.aに基づくジュニャーナシュリーミトラの著作の校訂テキストの完成。 の2点からなっていた。 aについては、不慮の事故により、23年度に実施が延期されたが、23年度無事実施され、予想以上に多くの写本資料をPDFデータ化することに成功した。特に、ジュニャーナシュリーミトラの対象となる著作以外の他の著作の写本コピーや、関連する重要文献である、プラジュニャーカラグプタやダルマキールテイの著作の写本などをデータ化できたことは、今後の研究にとって極めて重要な意味がある。 bについても、基礎的作業はほぼ終わり、aに基づく作業も基本的に終了することができた。 また、ジュニャーナシュリーミトラ「主宰神論」を文献学的に解明する上で、必要であった、関連文献についてもaの写本調査により新たに解明された部分も多い。 さらに、校訂テキスト完成の過程で、ジュニャーナシュリーミトラ「主宰神論」の一部が、ジャイナ教の文献に引用として明示されずに、多量に引用されていることについては、引用されているジャイナ教文献と当該文献との比較検討を行い、その結果は、研究成果として平成23年度に発表した。
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