研究課題/領域番号 |
22520057
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研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
狩野 恭 神戸女子大学, 文学部, 教授 (70204592)
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キーワード | 主宰神 / ジュニャーナシュリーミトラ / イーシュヴァラ / アートマン |
研究概要 |
ジュニャーナシュリーミトラ「主宰神論」の解明という課題の中で、平成23年度の研究計画は,A) ドイツ(ゲッテインゲン)での写本調査.B) アメリカハーバード大学におけるパティル教授との英訳の作成,の2点からなっていた。 A)については、平成24年3月ゲッテインゲン大学に約10日間滞在し、予想以上に多くの写本資料をPDFデータ化することに成功した。特に、ジュニャーナシュリーミトラの対象となる著作以外の他の著作の写本コピーや、関連する重要文献である、プラジュニャーカラグプタやダルマキールテイの著作の写本などをデータ化できたことは、今後の研究にとって大きな成果であった。 B)については、同教授の都合により、約半年遅れて平成24年度9月に実施する予定である。 共同作業、研究は実質2週間程度であった。予定されていた本文英訳作業の中で、ジュニャーナシュリーミトラ「主宰神論」の中の「前主張のまとめ」のほぼ3分の2を終了することができた。また、同教授とは、インド論理学、特に「主宰神論」にまつわる様々な問題について意見を交わし、情報を得ることができた。 さらに、ジュニャーナシュリーミトラ「主宰神論」の一部が、ジャイナ教の文献に引用として明示されずに、多量に引用されていることについては、引用されているジャイナ教文献と当該文献との比較検討を行い、その結果は、研究成果として平成23年度に発表した。さらに、主宰神論と関係の深いアートマン論の基礎となる「実体」の概念について、「Dravya研究」として『インド論理学研究III』にその成果を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(4月―7月: まず、英文試訳、英訳注を準備する。準備作業としてのテクニカルタームの整理と訳語の確定が終了していない場合、英訳の準備と同時並行的に行う。)以上については、ほぼ予定どおり準備を行うことができた。 (8月― 9または10月:1ヶ月から数ヶ月の予定でハーバード大学に滞在(申請者の本務校の都合により、できれば、10月末まで)して、同氏の協力の下で英訳を完成させる。)以上の点については、時期はややずれたものの、ハーバード大学に滞在し、英訳作業を行うことが、予定の約60%について英訳を完成することができた。 (11月―3 月: 英訳は、基本的には、滞在中に完成させることを目標とするが、不可能な場合、帰国後メールなどのやりとりによる修正もありうる)この点については、24年度にも継続して行う。 (また、英訳完成後は、テクニカルタームの訳語について詳細なIndexを作成する。)この点については訳語のリストは完成したが、Indexは課題として残った。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は前年度に引き続き、 1)再び、ハーバード大学に滞在し、英訳を最後まで完成させる。同時に訳注についても検討に入る。 2)テクニカルタームのIndexを作成する。 3)23年度にゲッティンゲンで収集した写本に基づいて、ジュニャーナシュリーミトラの当該テキストをもう一度点検する。 4)同様に、関連テキストについても、ゲッティンゲンで収集した写本に基づいて、必要部分について校訂テキストを作成する。
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