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2011 年度 実績報告書

「路傍の地蔵」の宗教史的考察

研究課題

研究課題/領域番号 22520060
研究機関金沢大学

研究代表者

清水 邦彦  金沢大学, 人間科学系, 准教授 (50313630)

キーワード民俗学 / 宗教学 / 地蔵盆 / 六地蔵巡り
研究概要

23年度は以下の2つの面から研究を進め、業績を成した。
(1)東京都23区域のうち、西北部(板橋区・練馬区・中野区・杉並区)に絞って、路傍の地蔵の銘文を分析した。通説では、路傍の地蔵は道祖神との習合により造立されるようになったとされてきたが、分析の結果、少なくとも当該地域に於いては、「二世安楽」を願って造立されたことが分かり、通説の修正を行うことができた。当該地域の路傍の地蔵の中には、道標の職能を持つものもあるが、その造立年代は、1730年代以降とやや遅く、近郊の農民が江戸に野菜を売りに行くようになってから、新たに付加された職能と考えられる。農民と推測したのは、銘文は「ゑど屋」の如く漢字・平仮名が混淆しているからである。この研究成果を日本宗教学会で口頭発表した。「東京都二十三区域西北部の「路傍の地蔵」」
(2)22年度、京都の地蔵盆を分析し、祖先供養的面は薄いという結論を得た。先行研究によると、但馬地方の地蔵盆には祖先供養的面があるとされ、これに関しては、23年度の課題とした。23年度、ようやく、但馬地方の地蔵盆を実見できたので、実見の成果と文献を合わせて、分析を加えた。但馬地方の地蔵盆は、墓参りを伴うもので、確かに祖先供養的面が存在する。その点では京都の地蔵盆とは全く異なる。但馬地方の地蔵盆は、京都の六地蔵巡りと地蔵盆とが一緒になって模倣されたため、このような相違が生じたと考えられる。なお、京都府亀岡市の地蔵盆・六地蔵巡りを伝播の一過程に想定した。この研究成果は、「兵庫県豊岡市竹野町の地蔵盆」として活字化されることが決定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

京都及び東京という路傍の地蔵の多い箇所に関する分析がおおむね終了したため。

今後の研究の推進方策

石川県の路傍の地蔵を調査・分析する予定であったが、これに関しては、場合によっては行わない。金沢市の調査が遅れており、また、金沢市以外の地域に関しては所在の目星が付く報告書がないため、あてもなく悉皆調査をする時間がないと思われるため。今後は金沢市の地蔵調査を終了させるとともに、ある程度目星の付いている富山市の調査に集中したい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 兵庫県豊岡市竹野町の地蔵盆2012

    • 著者名/発表者名
      清水邦彦
    • 雑誌名

      比較民俗研究

      巻: 27号 ページ: 86-107

    • URL

      http://hdl.handle.net/2241/120158

  • [学会発表] 東京都二十三区域西北部の「路傍の地蔵」2011

    • 著者名/発表者名
      清水邦彦
    • 学会等名
      日本宗教学会
    • 発表場所
      関西学院大学(兵庫)
    • 年月日
      2011-09-04

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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