研究課題/領域番号 |
22520060
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
清水 邦彦 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (50313630)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 地蔵盆 / 両墓制 / 道祖神との習合 |
研究概要 |
本研究は、路傍の地蔵は道祖神との習合より立てられるようになったとする通説を見直すものである。2012年度は、各地の地蔵盆を分析することで、地区に於ける路傍の地蔵の役割を考察した。 昨年に引き続き、8月に兵庫県豊岡市竹野町の地蔵盆調査を行った。竹野に於いては、地蔵盆の際、墓地入口の地蔵に花・団子を供えると共に、墓参りを行うが、須谷に於いては、地区六箇所の地蔵に花・団子を供え、埋葬墓・石塔墓には積極的に墓参りを行わないことが判明した。(日本宗教学会口頭発表「地蔵盆と両墓制―兵庫県豊岡市竹野町の事例―」)竹野町内で地蔵盆が祖先供養と結びついた地区とそうではない地区があることが分かった。ここから、地蔵盆は祖先供養であるとする先行研究の見直しが計れることとなる。 昨年に引き続き、7月に奈良市市街地の地蔵盆調査を行った。具体的には、もちいどの商店街・東向北町の二箇所である。もちいどの商店街では、子どもが参加し、数珠繰りを行っていた。ちなみに地蔵像は常住ではなく、地蔵盆の際、倉庫から出される。東向北町では、子どもの参加はなく、婦人会によるご詠歌詠唱が中心であった。2010年からの調査を踏まえ、奈良市市街地の地蔵盆は、①子どもが参加し、数珠繰りを行う京都型、②大人が中心となって、ご詠歌を唱え、時に祖先供養を行う竹野型の二タイプが混在することが分かった。(論文「奈良市市街地の地蔵盆」) いずれにせよ、各地の地蔵盆を見る限り、道祖神(もしくは道祖神信仰)との習合は認められないのである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東京都23区域の悉皆調査は、8区終了し、4区が継続中である。武家屋敷地域は路傍の地蔵が少ないので、本年度中にある程度の見落としが付く。ただ、この調査の成果は口頭発表に留まっており、論文化が遅れている、 金沢市とその周辺の調査は遅れており、現段階で、金沢市が終了していない。本年度は時間を多めに割いて、金沢市だけでも終了させる。 『地蔵菩薩利生記』・『地蔵菩薩利益集』の翻刻は終わっており、活字化できる状態になっている。
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今後の研究の推進方策 |
東京都23区域の調査は区の数だけだと、かなり残っているが、千代田区・中央区といった旧武家屋敷地域には路傍の地蔵が稀なので、本年度中にはある程度の見通しが付く範囲まで調査が終了する予定である。 金沢市とその周辺の調査は遅れており、本年度中に金沢市だけでも終わらせる予定である。 その他は順調なので、研究報告書・冊子版の作成にとりかかる。
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