二十三年度の研究は、日本国内を対象にして行った。研究計画にある12パターンのヒト動物・関係のうち、23年度には、「食」「供養」「従属」「観賞」「模倣と接触」「ペットとコンパニオン」「記号化」「共生」の8パターンを、主に山口県内、岡山県内、東京都内において研究調査(観察・取材・インタビューによる実態の把握、記録、整理)をした。以下にその経過と実績を、各々のパターンの要点から説明する。 「食」に関しては、主に生魚料理の盛り合わせ方法に焦点を絞った。「供養」に関しては、主に一般家庭によるペット供養、動物実験施設における供養、家畜農家による供養に焦点を絞った。「従属」に関しては、主に乗馬と家畜に焦点を絞った。「観賞」に関しては、街中の蛍と鯉、動物園と水族館における動物観賞に焦点を絞った。「模倣と接触」に関しては、主にファッション(特に革製品)と家屋内のデコレーションに焦点を絞った。「ペットとコンパニオン」に関しては一般家庭や一人暮らしの家のペット(特に犬と猫のケース)に焦点を絞った。「記号化」に関しては、主に若者に人気のアニメと漫画に登場する動物に焦点を絞った。「共生」に関しては、地域のプロジェクトとして行われている野良動物や絶滅の危機に瀕している野生動物の保護活動に注目した。 今回の研究調査では、上記のような実際に見られるヒト・動物関係のパターンとその現れが、人と自然・野生の世界を結ぶ媒体(または様式)として機能しているほか、文化・慣習・思想にも根ざす観念的世界の実態にも左右されていることが、重要な論点の一つとして導かれた。
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