本研究は西洋における否定神学について、その源流からクザーヌスに至るまでの展開を明らかにすることである。神はこの世の何ものにも属さず、われわれは神を思考や言葉では決して規定することができないということに基づいて、否定神学は神を何でないかを語る(否定する)ことによって神に接近しようとする。そのためにわれわれは思考と言葉を超えなければならない。そのことから、否定神学はわれわれの神についての肯定的な接近、あるいは沈黙による接近とどのような関係にあるかが問題になる。本研究はそれらの問題を西洋の古代中世の思想に探ったものである。
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