研究代表者の野崎は、まず近世朝鮮儒者の随筆類を主なテクストに、そこに表れた様々な人物像を考察した論考を執筆。また、説話文学会主催のシンポジウムの講演において、朝鮮人物説話の機能について発表した。また、実在の人物をモデルとした朝鮮古典小説の訳注を刊行。これらと平行して、韓国や台湾における資料収集やフィールド調査も行い、今後の研究の基礎固めを果たした。 研究協力者の高坂史朗は、植民地朝鮮と台湾に設立された帝国大学で哲学講座を担当した安倍能成と務台理作を中心に植民地教育が日本知識人にどのような影響を与えたかを論じた論考を執筆。また近世儒者が自らのアイデンテティの確立のため、キリスト教と西洋知識との葛藤を論じた李光来著『西洋思想受容史』を翻訳出版し、その解題で東アジア(中国・朝鮮・日本)の西洋思想受容の特色を比較する考察をなした。
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