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2012 年度 実績報告書

自治国家は形容矛盾かとの問いの解明――シュタイン自治理論の研究を通して

研究課題

研究課題/領域番号 22520079
研究機関東洋大学

研究代表者

柴田 隆行  東洋大学, 社会学部, 教授 (20235576)

研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2013-03-31
キーワード自治 / 社会 / 国家 / シュタイン / グナイスト
研究概要

明治期日本に自治制度を導入する際に伊藤博文や山縣有朋らが主として学んだのはドイツのグナイストとオーストリアのローレンツ・フォン・シュタインであった。そこで、グナイストとシュタインの自治理論を解明するとともに、彼らの学問的交流関係を調べ、彼らの自治理論における共通性と差異性を明らかにした。共通性は、ともに国家と社会との対立・葛藤という19世紀の共同体が抱える問題解決の緒を自治体に求めた点にあり、差異性は、グナイストが自治体を国家の機関として位置づけるのに対して、シュタインが自治を国家そのものの構造として理解した点にある。シュタインは日本では国家主義者と思われがちだが、彼の国家学や行政理論を仔細に分析すれば、それが一面的な理解であることがわかる。グナイストがベルリン大学法学教授でありつつ一貫して議会で活動する政治家であり、現実政治において国家の立場から「統治」する視点で自治を論じたのに対して、シュタインはキール時代も含めつねに現実政治に即しつつも学問的な立場からものごとを考えた。その意味でシュタインの自治理論は抽象的と言えないこともないが、自治を諸個人の人格的自由の実現の場と考える姿勢は一貫して揺るぎなかった。そしてこの立場を堅持しつつ、どこまで自治国家という構想が展開可能かをとことん考え、人口論、社会論、行政理論、財政理論、教育理論、兵制論等々を詳細に論じ尽くした。ところが、こうしたシュタインの自治理論は、伊藤や山縣らの当時の政治的必要性に迫られた理解によって歪められ、自治体は国家の地方出先機関に貶められた。しかし、20世紀後半にドイツを筆頭に社会国家という共同体全体の枠組のなかで自治体の独立性が認知され、日本でも近年ようやく国家の一機関とは別の、自治体独自の機能が認知され、実践され始めたが、その理論的な基礎に、かつてシュタインが構想した自治理論に合致する部分が多々見られる。

現在までの達成度 (区分)
理由

24年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

24年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (5件)

  • [雑誌論文] 自治をめぐるグナイストとシュタインの理論上の差異2013

    • 著者名/発表者名
      柴田隆行
    • 雑誌名

      東洋大学社会学部紀要

      巻: 50-2号 ページ: 81-96

  • [雑誌論文] 「自治」――翻訳語研究(二)2013

    • 著者名/発表者名
      柴田隆行
    • 雑誌名

      理想

      巻: 690 ページ: 131-142

  • [雑誌論文] 1813年夏学期のフィヒテ講義は「国家論」ではないのか2012

    • 著者名/発表者名
      柴田隆行
    • 雑誌名

      フィヒテ研究

      巻: 20号 ページ: 61-73

  • [雑誌論文] シュタインとグナイストの交流――往復書簡を通して(上)2012

    • 著者名/発表者名
      柴田隆行
    • 雑誌名

      東洋大学社会学部紀要

      巻: 49-1 ページ: 25-38

  • [雑誌論文] シュタインとグナイストの交流――往復書簡を通して(下)2012

    • 著者名/発表者名
      柴田隆行
    • 雑誌名

      東洋大学社会学部紀要

      巻: 50-1 ページ: 83-97

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公開日: 2014-07-24  

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