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2012 年度 実績報告書

伊波普猷の「沖縄学」の可能性――近代日本のナショナリズムを攪乱する思想

研究課題

研究課題/領域番号 22520087
研究機関九州国際大学

研究代表者

三笘 利幸  九州国際大学, 経済学部, 准教授 (60412615)

研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2014-03-31
キーワード沖縄 / 日琉同祖論 / 排除/包摂 / 帝国主義 / ナショナリズム
研究概要

本研究は、伊波普猷の日琉同祖論に注目しながら、彼の展開した「沖縄学」が近代日本のナショナリズムを撹乱する思想であることをあきらかにして、新たな伊波普猷像を提示しようとするものである。既存の研究では、伊波の日琉同祖論は、同化主義や、同化と自立を揺れる意識のあらわれと評価された。しかし、本研究では、伊波の日琉同祖論の、日本と沖縄を「同祖」であるとしつつ沖縄の「異族」性を強調する矛盾したあり方に注目し、それが日本や沖縄というナショナルな単位の思考自体に疑義を提示するものであることをあきらかにし、近代日本のナショナリズムを内側から割り崩す可能性を持つ思想であったことを示したい。
本年度は、伊波の日琉同祖論という思想の形成、発展、変化を精緻に追う作業を行い、また、伊波の1920年前後の思想、特に『沖縄女性史』に見られる思想を探った。伊波は日本で女性に関する研究があらわれはじめたきわめて早期に、女性史研究を行った。このことの持つ意味だけでなく、それが沖縄という地点から考察されたことの意味を考察した。もちろん、「近代」的思考に規定されつつも伊波の持つ思考が「近代」を問い、日本のナショナリズムを問う可能性を持つのではと考えている。2013年度は本研究の最終年度であり、本年度の研究をふまえて1920年代以降の伊波について研究をすすめ、その成果をまとめていきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初、伊波の『沖縄女性史』など、女性に関する研究を主題的に扱うことは想定していなかったが、この点に深く考察を加えることによって、むしろ伊波の思想形成や思想の射程を見ることができると考えられる。

今後の研究の推進方策

これまでどおり、研究実施計画にあわせて研究を行う。

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公開日: 2014-07-16  

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