研究課題/領域番号 |
22520088
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研究機関 | 津山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
稲田 知己 津山工業高等専門学校, 一般科目, 教授 (70221778)
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キーワード | 住む / 居住論(トポロギー) / 建築史 / モダニズム建築 / 詩作と思惟 / ル・コルビュジエ / ハンス・シャローン / ハイデッガー |
研究概要 |
本研究は、「住む」ことを学ぶために、ハイデッガー居住論をその時代から、当時まさに勃興しつつあったモダニズム建築との関連のもとで考察しようとしている。つまり本研究は、これまでほとんど前例のない、哲学と建築史との学際的研究をめざしている。この趣旨に沿って、当該年度は、欧州への長期出張をおこない、モダニズム建築の実地調査、関連文献の収集に従事してきた。 このようにして得られた知見をもとに、本研究は当該年度、まさに研究テーマそのものの論文を執筆した。すなわち、「哲学と建築との学際的研究-ハイデッガー居住論とモダニズム建築における「住む」-」である。この論文には、欧州への現地調査で入手した貴重な文献資料、現地で撮影してきた多数の建築写真、等を掲載しており、本科学研究費補助金が適正に執行され、着実に成果をあげていることを示すことができたと考える。 また、角川学芸出版から共著として、『新しい時代をひらく-教養と社会-』という教養に関する論文集を公刊することができた。本研究者の執筆論文名は、「技術時代における教養-技術文化への包括的な批判」であった。ハイデッガー居住論やモダニズム建築について扱う本研究は、その両者がそこで生まれた「時代」というテクストに注目している。それは言うまでもなく「技術の時代」であり、上述の論文ではこの問題について教養論という視角から批判的に考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究テーマそのものの論文を執筆するとともに、それによって得られた知見をさらに教養論の文脈に応用し、著述のかたちで公表することができたから。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も欧州への長期出張を敢行する。まず、ドイツのライプツィヒの国立図書館、ミュンヘンの州立図書館、フライブルク大学図書館で、これまでの現地調査で複写できていない稀観本や古雑誌の文献収集にさらに従事する予定である。また、ヴァイマールのバウハウス博物館を再訪するとともに、今年度は新たにル・コルビュジエの生誕地であるスイスに渡り、関連施設を訪問し、モダニズム建築群を撮影する所存である。
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