本研究は、イタリア・ルネサンス期の美術様式としてのマニエリスムの造形的論理の源泉を考察することを主目的とした。その際、フリウリの記憶術師・キケロ主義文学者ジュリオ・カミッロ・デルミニオによる美術論に焦点を当て。その言説の再構成に基づき、同時代の絵画や彫刻や版画がいかにして形成され、また同時にいかにして受容されたかを推察しようとした。ジュリオ・カミッロの主テクスト『劇場のイデア』、『模倣論』、『雄弁のイデア』を精読し、不明な箇所についてはイタリアの各研究機関および図書館等を訪れて原典資料と比較し、マニエリスム美術の「時代の眼」(マイケル・バクサンドール)を浮き彫りにすることができた。
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