研究課題
平成22年度においては、まず機器類の整備を行ない(備品費の支出)、平成18~20年度に作成したデータベース上のチェックリスト(ファイルメーカー・プロで作成)の整備を行なった。同時に、すでに所有している関連資料類の整理とファイリング(消耗品費の支出)を行なった。今回研究計画の中核的な作品グループはフィレンツェ、ウフィツィ美術館所蔵のティントレット派素描124点であるため、特にこのグループについて集中的に情報の整理を行なった。同時に、関連する書籍資料の収集を進めた。特に、2007年にマドリードで開催されたティントレット展のカタログ、および関連して開催された国際シンポジウムの報告書を入手し、素描関連の新しい情報を収集・整理することに努めた。当初予定していたイタリアでの調査旅行が学務上の都合により実施できなかったため、実見調査は23年度に延期せざるを得なかった。代わって、予備的調査としてイタリア各地の作品に関する既刊行の文献データおよび画像の収集を行ない、順次データベースへの入力を進めた(この作業は23年度も継続する)。作品考察としては、過去にウフィツィ美術館所蔵作品について論じてきた主として3人の研究者(アンナ・フォルラーニ、パオラ・ロッシ、アンナマリア・ペトリオーリ)の相互に異なる見解を比較対照し、ロッシによる1975年のカタログにおいて表明された見解に対して、再検討を行なった。結果として、ロッシによってヤコポ・ティントレットの真筆素描から除外された数点の素描を、ヤコポ本人の作品として再評価できる可能性が示唆された。この考察結果は、23年度に公刊を前提とした小論文にまとめることを目指す。
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祭壇画の解体学
巻: (所収) ページ: 265-296
ルネサンスのエロティック美術
巻: (所収) ページ: 141-161
長崎県美術館研究紀要
巻: No.4 ページ: 51-64(和), (31)-(41)(英)