研究課題/領域番号 |
22520095
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研究機関 | 東京芸術大学 |
研究代表者 |
越川 倫明 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (60178259)
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キーワード | 美術史 / イタリア / ヴェネツィア派 / 素描 / ルネサンス / ティントレット |
研究概要 |
平成23年度においては、イタリア、ウフィツィ美術館に所蔵される124点の中核的作品グループの検討を続け、24年度執筆予定の論文の基礎データをまとめた。また、関連する資料類の収集と整理、ファイリングを継続的に行なった。執筆作業としては、彫刻「アトラス」に基づく素描群に関する論考をまとめ、この素描群のモデルとなった彫像に関する新しい知見を東京芸術大学西洋美術史研究室紀要に公刊した(下記、研究発表の欄を参照)。作品データベースの更新作業は、年間を通じて継続した。 継続中の考察としては、ウフィツィ美術館に所蔵される素描群の再検討から、これまでヤコポ・ティントレットの真筆素描とは認められてこなかった数点の作品につき、ヤコポ作として再評価できるとの結論に達し、24年度中には論考にまとめる予定である。平成24年3月にフィレンツェに調査旅行を行ない、この論考のための関連作品の実見調査を行なうとともに、同館のご厚意により、これまで文献に図版掲載されていない多数の写真を入手することができた。ちなみにこの調査旅行を3月に設定したのは、2月よりローマで大規模なティントレット展が開催されていたためであり、ローマに足をのばしてこの展覧会を訪問するとともに、多くの新しい文献情報等を得ることができた。 さらに新規の考察としては、作品の比較検討から、同じくウフィツィ美術館の素描群のなかで、ヤコポの息子ドメニコ・ティントレット作として一連の素描を同定できる見込みが得られ、このテーマについても今後論考を準備していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
作品の検討作業はほぼ予定通りに進行し、新しい知見も得られつつある。執筆のスケジュールもほぼ順調である。ただし、23年度に予定していたヨーロッパ北部の美術館での作品実見調査は、イタリアへの調査旅行を優先する必要が生じたため(24年3月に実施)、24年度に延期せざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究の手続き・調査方針に関して特段の変更はなく、予定通りの計画で進めていく。ただし、作品実見の調査旅行について、通常業務との関係から必ずしも当初計画通りに日程を組めない場合もあり、柔軟にスケジュールを立てていく必要がある。同時に、作品所蔵先の研究者とのメール等の連絡によって、より効率的に写真資料等を収集していきたい。
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