・戦後期の写真についてのメディア論的考察: 20世紀半ばにおけるアマチュア写真論について、ブルデューを代表する社会学的写真論の再検討を行い、その理論的難点を抽出し、アラン・セクーラ等の写真論からのさらなる展開の可能性を提示した。 ・間メディア的身体論の考察:写真映像に見られる身体論的次元を、写真と他のメディアを比較して考察を行なった。一方で古典的な精神分析的理論に抗する認知理論的な映像研究、とくに、しばしば批判されることの多いノエル・キャロルなどの映像理論を検討し、他方で同様に精神分析の批判から出発するドゥルージアンによる映像理論(たとえばステーヴン・シャヴィロ)の理論を検討した。また、その検討作業の一環として、漫画における恐怖の表象をフレーム内フレームというテクスト構造/受容構造に基づいて議論した。 ・TVと写真の現象学的考察:写真が1950年代から60年代にかけてTVメディアとの結びつきのなかで帯びるにいたった特性(その時間および空間性、受容の様態)を、TVメディア論(メアリー・アン=ドーン、サミュエル・ウェーバーら)とつきあわせることで明らかにした。
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