研究課題/領域番号 |
22520104
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研究機関 | 日本橋学館大学 |
研究代表者 |
塩澤 寛樹 日本橋学館大学, リベラルアーツ学部, 教授 (60162567)
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キーワード | 肖像彫刻 / 武家肖像 / 北条時頼 / 徳川家康 / 束帯 / 天神 / 東照宮 |
研究概要 |
平成22年度は、本調査を中心に行った。本調査を行った作例は、次のような観点で選定した:(1)鎌倉地方に残される束帯像の古例、(2)山梨・善光寺に残される武家肖像彫刻群、(3)徳川家康像を始めとする江戸時代の典型作例、(4)武家肖像彫刻の種々相を示す作例 本調査を行った作例は次の通りである:福岡・警固神社徳川家康坐像、佐賀・大興善寺徳川家康坐像、愛知・熊野神社北条時頼坐像、山梨・善光寺源頼朝坐像、同源実朝坐像、同伝玄和居士坐像(北条時頼か)、同熊谷直実坐像、愛知・隣松寺徳川家康像、愛知・松平郷館松平親氏坐像、愛知・浄久寺鳥山牛助坐像、愛知・妙源寺徳川家康坐像、愛知・冨賀寺徳川家康坐像、同貞信公坐像、愛知・鳳来山東照宮徳川家康坐像 これらの作例についての主な成果は次のとおりである。(1)山梨・善光寺の源頼朝坐像、源実朝坐像はこれまで様々な評価があったが、鎌倉時代の優れた作例であり、束帯姿による将軍肖像彫刻の古例としても重要であること、(2)山梨・善光寺の伝玄和居士坐像は鎌倉時代に溯る北条時頼像の古例とみられること、(3)愛知・熊野神社北条時頼坐像は鎌倉時代の優れた北条時頼像の古例とみられ、鎌倉明月院の塑造時頼像と通じる表現を持つこと(4)福岡・警固神社徳川家康坐像は慶安三年(一六五〇)の制作で、愛知・大樹寺像等と共に、幕府が関与する江戸前期の家康像の定型的な作例とみられること、(5)愛知・鳳来山東照宮徳川家康坐像は慶安四年(一六五一)頃の制作とみられ、幕府が関与する優れた家康像であり、警固神社像や大樹寺像とは異なる個性を持つ重要作例であること 来年度は足利尊氏像などを中心に、各時代の典型を探る上で有効な作例を中心に調査を進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定した重要作例の調査はおおむね順調に進んでおり、本研究の最も重要な目的である作品の実地調査による基礎データの収集が進んでいるから。
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今後の研究の推進方策 |
各時代の典型を探る上で有効な作例を中心に調査を進めたい。具体的には、これまで調査ができなかった足利尊氏の古例調査を一つの重点にしたい。また、源頼朝像や北条時頼像の古例についてもさらに調査を行ってゆきたい。さらに、予算と機会が許せば、徳川家康像についても調査を進めたい。
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