本科研ではエミリア地方の三つの修道院に焦点をあて、このゴシック黎明期の北イタリア美術の図像内容の展開状況について研究を進めている。 平成22年度は、北イタリアのピアチェンツァ、パルマ、さらにフィレンツェとローマでの調査が中心となった。 北イタリアでは、北イタリアの三つの修道院、すなわちシトー会修道院のキアラヴァッレ・デッラ・コロンバおよびフォンテヴィーヴォ、そしてベネディクト会修道院カスティオーネ・デイ・マルケージで現地調査を実施し、同時に、画像のデータベース化を進めた。この画像データベース化に際しては、新たに整備したPCの最新の画像ソフト(フォトショップ)を最大限に活用した。 各修道院の回廊の彫刻、そして聖堂身廊の柱頭とヴォールトに関する調査が中心となっている。 また、ローマのバチカン聖使徒図書館において、12世紀後半のシトー会関連文献と12世紀の秘蹟関連文献を調査した。前者についは、特に雑誌「Analecta cistercensia」の調査、そして後者については、「Le Pontifical romano-germanique」の調査が主眼となった。 さらに、フィレンツェ大学およびパドヴァ大学の文学部美術史学科教員と今後の研究の内容にについて協議した。特に今後の研究会や学会の実施に関する意見交換は有意義であった。 また、北京大学で開催された学会において、日本での西洋中世ルネサンス美術研究の状況について発表し、多くの貴重な助言を得ることができた。
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