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2011 年度 実績報告書

四国地方における仏像の造像圏とその形成過程に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22520108
研究機関多摩美術大学

研究代表者

青木 淳  多摩美術大学, 造形表現学部, 准教授 (00305806)

キーワード国東半島 / 山東半島の麿崖仏 / 中央様式の地方的展開 / 対外交渉 / 黒潮文化 / 石仏
研究概要

本年度は豊後水道に面した九州東部より、阿蘇中山間地域に至る一帯の仏教文化財の調査を中心に行った。調査地としては、大分県国東半島より九州東岸沿いに伝来する磨崖仏や石造品を含む平安時代の作例、宮崎県国富町周辺の鎌倉時代の作例を中心に行った。
周知のように国東半島における石造物の文化は宇佐文化や六郷満山の修験文化などきわめて独自な信仰を背景としたものとして知られている。しかしながらさらに、豊後水道を南下してゆく過程にも、石窟型の大分・曲磨崖仏群、高瀬磨崖仏群、宮迫磨崖仏群、崖を彫りだした元宮磨崖仏群、菅尾磨崖仏群、犬飼磨崖仏群、普光磨崖仏群などが点在しており、こうした大規模な石造遺物の存在は豊後水道対岸域の四国海岸部や瀬戸内両岸には見られないもので、古代から中世にかけての石造遺物の拡散が九州東岸地域に集中していることはその背後にある信仰圏や造像圏の問題を考えるときに注目されるところであった。中でも菅尾磨崖仏群は紀州熊野権現の本地物を勧請したものとしても興味深いが、岩屋寺石仏群などとともに中国・山東省の千仏崖磨崖仏群などとの作風や群像表現の方法など類似点が多く見受けられ、今後の研究課題としたい。
鎌倉時代の作例としては宮崎・法華嶽寺薬師三尊像、王楽寺薬師三尊像は、高知・雪蹊寺薬師三尊像、大乗院薬師三尊像にみられるような鎌倉時代中期、仏師湛慶周辺の作者に見られる特色が認められるもので、また国富町萬福寺阿弥陀三尊像などは鎌倉時代中期の慶派様式をこの地方において独自に受容した作例と考えられる。また大分、六郷満山の一つ旧千燈寺跡石塔群、如来座像、大分県立歴史博物館寄託の不動明王像なども鎌倉時代初期から中期にかけての中央文化の影響を強く受けた作例と言えよう。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初、遼東半島周辺の調査を目指していたが、震災などにより日程調整ができず、本年中には是非行いたいと思う。

今後の研究の推進方策

仏教に関わらず人々の信仰に関わる文化の研究は今後、社会学、歴史学、民俗学なども含めてより広範な学際領域を網羅したものとして進展すべきと思われる。大学や研究分野の敷居を、自他ともに下げたところであらたな対話の機会を作ってゆきたい。

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公開日: 2013-06-26  

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