1資料収集 国内:国会図書館関西館(平成22年12月24-25日)で、同館所蔵のハーモニカ、広東音楽関連の楽譜と民国期博覧会報告書を収集した。以上諸項目は、研究課題である民国期アマチュア遊芸活動の主要ジャンル関連活動である。ハーモニカの曲目については、日本で刊行された曲集との重複曲が8割以上を占める一方、現地の民間楽曲のアレンジ、国威発揚を目的とする儀礼歌も含まれることを確認した。 国外:上海市档案館(平成23年3月14-19日)で、同館が所蔵する各種アマチュア組織関連資料のうち、金融業者の同業団体交流会と同郷者団体の文書を調査した。同業団体では、銀行職員が会社の壁を越えて結成した「銀聯」関連文書を主に閲覧した。同組織は、民国期後期上海の余暇活動で社会的にもリーダーシップをとる重要な存在である。1930年代前半の結成期には遊芸活動に関する活発な報告がみられるが、後半になると残念ながら金融業の専門的知識の共有に会誌等の目的がうつり、具体的な情報は見られなくなることがわかった。同郷会に関しては、総会や例会記録、彙報等を閲覧した。とくに広東音楽の生成にかかわる活動が同郷会内部で行われた可能性を期待したが、これについて該当情報は残念ながら見当たらなかった。同郷会の運営状態や活動内容、その記録情報には地方ごとに粗密がめだち、さらに具体的な情報を補完する他資料を求める必要性を実感した。ハーモニカ業界の動向は、民国期末から中華人民共和国の国営化に関するかなり詳細な状況証拠が入手できた。ハーモニカは、民国期アマチュア動向活動でほぼ例外なく含まれる項目だが、上海市内の数十におよぶハーモニカ製作業者の数からも、当時の隆盛がうらづけられた。 2.口頭発表 平成22年12月11日、日本音楽学会中部支部例会で民国期の大正琴受容に絡め、ハーモニカの普及について報告した。
|