研究課題/領域番号 |
22520130
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研究機関 | 東京芸術大学 |
研究代表者 |
尾高 暁子 東京芸術大学, 音楽学部, 講師 (00397019)
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キーワード | 上海 / 中華民国 / 東洋史 / 中国音楽 / 近代化 / アマチュア |
研究概要 |
1 資料収集 1-1 民国期アマチュア音楽活動関連 当初の計画では、22年度につづいて、北京上海の公共図書館と香港(特に粤楽関係)で資料を収集する予定だった。しかし渡航予定の夏季に体調を崩す等の要因で断念したため、国内で「申報」読取調査を続けた。民国35年代以降、該当情報掲載が激減したことがわかり、申報以外の資料へのシフトを検討した。 1-2 日本のハーモニカ関連 民国期上海ハーモニカ界の比較材料として、引き続き大正から昭和初期に刊行された楽譜類を購入。国会図書館でも資料を複写した。これらの収集によっても、まだ主要な編曲者のレパートリーについて全容を把握するには至らなかった。ただし、これまで関東圏に偏っていた情報ソースを、さらに関西圏に広げたので、日本国内でのハーモニカ普及の実情が、より明確になった。 1-3 民国期アマチュア組織メンバーの日本における活動関連 大正~昭和初期に東京音楽学校に留学した、民国期上海のアマチュア組織メンバーについて、東京芸大付属図書館早稲田大学付属図書館、外務省外交資料館で関連資料を収集した。具体的な対象は上海基督教青年会のメンバー呉自尉ら2名である。彼らは民国期前期に主に活動したが、呉は民国期後期にも基督教関連団体で影響力を持ったキーパーソンである。彼らが東京音楽学校選科を選びつつ、基督教青年会としても日本で活動を展開したことが、諸資料から確認された。当時の中国人留学生らしく、「兼学」(複数の専門分野を選び能力を身につける)を目的として来日したことが伺われた。 2 口頭発表 上記1-3の調査結果の一部を、第九回中日音楽比較国際学術検討会(2011年10月13-15日、中国山東師範大学音楽学院)で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.調査を予定した夏季に体調を崩したほか、諸要因のため海外調査が実施できなかった。 2.調査対象者から調査協力が得られていない。 3.読取調査対象の「申報」で、必要な情報の掲載頻度が民国期後期の途中から激減した。これに代わる情報ソースを探索中だが、適当な候補を特定できていない。
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今後の研究の推進方策 |
1.上海のアマチュア音楽活動を率いた鄭観文関連調査は、本来第二年度、三年度にわたって行う予定だった。しかし時間・資金両面で余裕がなく、また調査対象者の協力が得られる状況にないため、本研究の対象から外し、他目の課題としたい。 2.「申報」を補う新聞ないし雑誌資料の特定を急ぐ。 3.以上の方針にそって研究規模を縮小し、民国期後期の一般アマチュア組織の活動調査に一本化する。
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