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2011 年度 実績報告書

初期バロック音楽の実践的歌唱法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22520139
研究機関大分大学

研究代表者

栗栖 由美子  大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (30305023)

研究分担者 松田 聡  大分大学, 教育福祉科学部, 教授 (60282547)
キーワードアジリタ / 声区 / 装飾法 / 発音法
研究概要

本研究の目的は,17世紀前半の初期バロック音楽の適切な歌唱法を,実践と理論の両面から具体的に解明することである。平成23年度は,初期バロックの歌唱法を探る上で,特に重要な歴史的資料である,G.B.ボヴィチェッリ「Regole passaggi di musica」(1594),G.カッチーニ「Le nuove musiche」(1602),「Nuove musiche enuova maniera di scriverle」(1614),M.プレトーリウス「Instructio pro Symphoniacis」(『Syntagma Musicum』III-3-9,1618・19),の4冊の歌唱理論書の読解を中心に研究を進めた。特に,カッチーニの「Lenuove musiche」「Nuove musiche e nuovamaniera di scriverle」と,プレトーリウスの「Instructio pro Symphoniacis」を,歌唱技術の面から具体的に解明し,(1)アフェットの概念,(2)単・複の声の長い回転,(3)スプレッツァトゥーラ,(4)イントナツィオーネ,(5)エスクラマツィオーネ,(6)トリッロとグルッポ,について,当時の歌唱法を明らかにしたが,すべての技法は,言葉のアフェットを表親するために考案されたものであることが判明した。以上を踏まえた上で,声楽初心者に対して必ず課題とされる,G.カッチーニ《アマリッリ》を例に,当時の様々な技法を用いて,適切な歌唱法を提案した。また,原典にもとづくことによって,パリゾッティ版,ペートン版,イェペセン版,ヒッチコック版からは見えてこなかった,新たな歌唱法の視点も指摘することができた。G.カッチーニ,M.プレトーリウスの歌唱理論書から導き出された注意点や歌唱法は,古楽器と演奏する際はもちろん,現在,多くの人が愛用するパリゾッティ版を用いる際にも有益であり,これまでとは違った生命感の溢れる演奏が可能になると確信した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度の研究実施計画においては,歌唱理論書の読解,前年度に収集した手稿譜の読解と歌唱技術の分析,現代譜の作成,コンサート会場の手配と演奏者の確定を掲げた。G.B.ボヴィチェッリの読解に時間を要し,手稿譜の読解と歌唱技術の分析が多少遅れたものの,次年度のレクチャー・コンサートで取り上げる曲目も決定し,おおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

平成24年度は,研究の最終年度にあたる。理論書から導き出した歌唱法を,レクチャー・コンサートにおいて,研究代表者本人が実演を通じて具体的に示す計画であるが,オリジナル楽器の演奏者3名は,東京在住であるため,演奏研究に支障をきたす。よって研究代表者が,短期集中的に東京へ足を運び,研究を遂行する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] バロック初期の歌唱法に関する研究2012

    • 著者名/発表者名
      栗栖由美子
    • 雑誌名

      大分大学教育福祉科学部研究紀要

      巻: 34巻第1号 ページ: 1-16

    • 査読あり

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公開日: 2013-06-26  

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