本研究は、20世紀終盤に急速に発展し、社会の中に拡がりはじめた生命科学や生命工学を背景として生れた「バイオメディア・アート」に関する基礎的かつ学際的な調査研究を行う。特に、ヒトのゲノム情報が解読可能となったポスト・ゲノム時代における身体観や人間観の変容、生命そのものに対する認識の変革、さらにはその社会への浸透に対する芸術の役割や可能性を、さまざまな視点から批判的に検討を行った。最終年度は、研究の3年間のまとめとして、 (1)バイオメディア・アートに関連する3つの展覧会とシンポジウムの開催。 ①「生命美学展」早稲田大学 理工学部アーティスト・イン・レジデンス研究発表、②3331 TRANS ARTS展、③BIOART.JP バイオメディア・アート展 (2)研究分担者の岩崎による、講談社現代新書から日本で始めてのバイオメディア・アートに関する書籍の出版。 (3)多摩美術大学が運営する「アキバタマビ21」での展覧会のカタログを兼ねた、ビジュアルなカタログ/報告書の「バイオメディア・アートブック」の制作。 を行い、研究のまとめ、および社会への発信を行った。研究の当初の目的であったバイオメディア・アートの「現状調査」「分類学」「コミュニティー構築」については、最終年度に展覧会および書籍の出版ができたことで、当初の目的を達成することができた。この3年間継続してきたBIOART.JPのサイトについは、研究終了後もサイト運営を続けていくなど、研究をここで終了させることなく、さらに継続的に発展させていく予定である。
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