(1)ウェスタンオーストラリア州パースに所在する先住民劇団イラ・ヤーキンに赴き、2011年パース国際芸術祭で初演される先住民ミュージカル『ウィラーラ』の制作プロセスについてフィールドワークを行った。特に先住民劇作家(デヴィッド・ミルロイ)、演出家(ウェズリー・イノック)、主演俳優(アーニー・ディンゴ)、劇団イラ・ヤーキン幹部らに取材を行った。先住民系演劇人たちの芸術的方向性や作品の制作手法、劇団の運営に関する貴重な証言を得ることが出来たことはきわめて重要な成果であった。この成果は、2011年度中に論文化する予定である。 (2)オーストラリア国内の主要州立図書館などで、先住民ダンスグループ・チューキー・ダンサーズの、アデレード国際芸術祭における公演『間違った肌』に関する資料の収集を行った。これらの資料を基に執筆した論文を、早稲田大学オーストラリア研究所編『世界の中のオーストラリア』の一章として寄稿、公表されることになっている。 (3)先住民現代舞台芸術に関するフィールドワークと理論検討を行った。具体的には、2011年に日本で行われたアイヌ音楽と北米先住民コンテンポラリーダンスのコラボレーション公演『ススリウカ』をフィールドワークし、振付家、公演主催者に取材を行った。オーストラリアという地域に限定せず、先住民の表現における伝統と現代性の問題について、理論的検討を行った。その一部として、同公演プログラムに試論を寄稿した。
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