研究概要 |
前年度から実施している先住民演劇『ナパジ・ナパジ』(スコット・ランキン+トレヴァー・ジェイミソン)の日本上演による実践的調査によって得られた考察を、Ngapartji Ngapartji: An Australian Indigenous Plays Evoking Memories of Maralinga, Hiroshima, Nagasaki, and Fukushimaとして、シドニー大学国際シンポジウム"Looking back on the Asia-Pacific War: Art, Cinema and Media"にて招聘講演として発表し、またその日本語版論文も早稲田大学法学会『人文論集』51にて発表した。本論文は、文学研究の分野で世界的に関心の持たれている「先住民文学と核兵器」のテーマについて、「オーストラリア先住民」「日本」「演劇による文化交流」という三つの新しいアプローチを付け加えた画期的な論考となった。 当該年度は進行中の研究として、アンドリュー・ボヴェル作の先住民演劇『秘密の川』、先住民オペラ『ピーカン・サマー』の上演についてフィールドワークし、作者にインタビューを行うなど資料収集を行った。さらにジョン・ロメリル作『ミス・タナカ』の結城座による日本上演を行い、その実践的調査により、作者へのインタビューなど多くの資料を得た。これらは、次年度に分析と検討を加えた上で、論文として公表する。
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