研究課題/領域番号 |
22520160
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研究機関 | 京都造形芸術大学 |
研究代表者 |
森田 実穂 京都造形芸術大学, 芸術学部, 教授 (00368060)
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キーワード | 高齢者 / 芸術と福祉 / コミュニケーション / 題材開発 / 芸術活動 / 実践的研究 / 芸術と社会 |
研究概要 |
研究代表者である森田は、すべての高齢者が自己表現を可能とする芸術活動の機会や場所を提供する可能性を研究し、記載の造形作品研究の他に、以下の活動をおこなった 前年度の調査のなかから導き出された結論を、総合老人福祉施設「同和園」西野の家「はなさんち」において、また同時に造形を専門とする高齢者を対象に、高齢者の身体的、精神面に配慮した芸術活動プログラムを創出、実践、検証した。その結果、回想法を用い、コミュニケーションを主体にすることで高齢者の関心は高まり、積極的な造形活動がおこなわれること、特に、造形に関連する職業に従事していた高齢者は当時の造形能力をほぼ維持し、主体的に造形活動を楽しむ余裕さえあること、多くの高齢者は感性を主体にしたドローイング、コラージュ等、素材感により五感を刺激する軽量粘土造形等に親しむが、作品そのものが日常品となる造形活動を好む傾向があるということ、加えて、若い世代との交流による造形活動を提供することで造形活動やその場がより活性化することを得た。しかし、造形活動のプロセスが特に重要であり、それを誘導する者の資質により造形活動の活性化に違いがでるという課題も得た。 さらに、高齢者の経験した美術教育と現状のものを検証するために、国内7校の美術の授業の視察をおこなった。 以上の活動と同時に造形活動に関するウエブログを立ち上げ、造形活動内容やそのプロセス等の1部を画像や動画で発信し、ソーシャル・ネット(コミュニケーション)・サービスとリンクさせた。そして、高齢者やそのアクティビティのコミュニティに参加したことで、高齢者諸施設等の従事者やその関係者等からの高齢者に関する造形活動実践やその課題についての数多くの情報交換が常時可能になり、それらを本研究の調査・研究に反映させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
造形活動プログラム創出、実践、検証を計画通りにおこなうことができたこと、また、ソーシャル・ネット・ワーキング・サービスを活用することで、高齢者諸施設等の従事者やその関係者等とのコミュニケーションを本研究に反映することが日常的にでき、それを研究に反映できた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの実践先の高齢者福祉施設に加え、本年度から、社会福祉法人京都市社会福祉協議会京都市左京老人福祉センターとも連携し、研究を継続する。これまでの研究対象の高齢者は、身体的、精神的に造形活動が比較的困難である者と造形活動を専門とする者であるが、そこに、身体的、精神的にも自由に造形活動ができる高齢者を対象に加えることで、多様な高齢者の状況に応じた造形活動の可能性を研究する。
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