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2011 年度 実績報告書

両大戦間の大阪と上海における西洋音楽受容の比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 22520161
研究機関大阪音楽大学

研究代表者

井口 淳子  大阪音楽大学, 音楽学部, 教授 (50298783)

キーワード大阪 / 上海租界 / 両大戦期 / 洋楽受容 / 亡命ロシア人 / ユダヤ難民 / Le Journal de Shanghai / 20世紀音楽
研究概要

平成23年度は、大阪と上海、それぞれの都市の西洋音楽受容について主として一次資料調査を行った。まず、大阪については大阪音楽大学が所蔵する1910年代から1940年代までの校史資料を解読する作業を行った。校史資料のなかに含まれる亡命外国人に関わる文書や写真を複写し、当時の西洋音楽をめぐる状況を把握することにつとめた。多くの亡命ロシア人が演奏活動を行うなかで、なぜ大阪音楽学校を
はじめとする音楽教育機関が亡命ロシア人を教員として雇用しなかったのか、という疑問に対する答えについては、いくつかの仮説を立てるにいたっている。仮説の根拠となるのは、やはり上海における積極的なロシア人雇用の事実である。主権をもたない租界、しかしすでに租界文化として高度な西洋音楽文化を築きあげていた租界においては外国人の雇用を避ける理由はなかったといえる。
その上海については、今年度、2度にわたる現地調査を実施した。今回の目的は上海図書館蔵書楼に所蔵されるフランス語新聞。法文上海日報(Le Journal de Shanghai)」を収集、整理し、解読することであった。さらに、この新聞を非常に良好な状態で所蔵するフランス国立図書館にもおもむき、音楽評論をはじめとする記事や音楽関係の写真を閲覧した。
このような現地調査のなかから、1940年代にはロシア人に加えてユダヤ難民のなかのきわめて高い技彌をもつ演奏家や作曲家が同時代の20世紀音楽やストラヴィンスキーをはじめとするバレエ・リュスの演目を劇場で演奏、上演し、聴衆が欧米人から中国人へと交替していく過程を把握することができた。
以上のように、上海租界が20世紀音楽を受け入れ、同時代の最先端の音楽を受け入れていた事実は、いまだ十分に明らかにされておらず、それを裏付ける新聞資料を入手できたことが今年度の最大の収穫であったといえる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初予想していた資料以外の一次資料(新聞資料)の存在が判明し、かつその資料を交渉の末、入手できるまでにいたった。

今後の研究の推進方策

現在、主要な研究資料である外国語新聞資料の入手については、当該科研費ではなく、研究分担者となっている基盤Bの研究課題で推進している。
今後この資料を使用する場合、基盤Bの研究代表者ならびに研究メンバーの了解をとらなければならないこと、また当該研究の成果と基盤Bの成果との明確な線引きを行うことが必要となる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Osaka and Shanghai : Revisiting the Japanese Reception of Western Music2012

    • 著者名/発表者名
      IGUCHI Junko
    • 雑誌名

      Music, Modernity and Locality in Interwar Japan : Osaka and Beyond

      巻: (印刷中)

    • 査読あり

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公開日: 2013-06-26  

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