①江戸~大正期の常磐津節演奏家情報の整備と公開の柱として、前年度に引き続き、町田嘉章によるメモの翻刻・公開を、「常磐津節演奏家研究報告―町田史料の翻刻と検証②―」(有明教育芸術短期大学紀要 第4号、2013年3月)として行なった。この公開については、字数制限により平成23年度に完結することができなかったので、引き続き続編を来年度の同紀要にて公開する予定である(これで完結予定)。 ②前年度に引き続き、常磐津英寿氏へのインタビューを続行し、録画と録音による記録を継続した。この調査については、さらに続けていく必要と意義を痛感しており、新たに平成25年度より3年間にわたって行う科学研究費助成事業(基盤研究C)「江戸~昭和期の常磐津節演奏家に関する基盤研究」でも継続的に行い、同時に公表に向けての検討も行う予定である。 ③②のインタビューをきっかけに明らかになった、明治期の名人と称される常磐津林中使用の浄瑠璃本(常磐津英寿氏より盛岡市先人記念館に寄贈)については、すでにその存在と意義を表明してきたが(東洋音楽学会第62回大会 口頭研究発表「常磐津林中自筆浄瑠璃本調査報告―盛岡市先人記念館所蔵本を中心に―」2011年)、その後の補足調査を経て、『常磐津林中の音楽活動の軌跡―盛岡市先人記念館所蔵林中本を手掛かりに』(有明双書第1シリーズ、武久出版、2013年3月)として出版した。 ④別途計画していた、常磐津保存会刊行の演奏家年鑑への協力を通した研究成果反映については、研究代表者の担当部分が、次年度に持ち越されたため、次年度以降に取り組む予定である。
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