当研究は、第二次大戦後の占領期の連合国軍最高指令官最高司令部(以下GHQ)による歴史教育政策の調査、および当時国立博物館が果たした教育的役割の明確化が目的である。 初年度である22年度は、GHQ文書の内博物館に関連する文書の資料選別、和訳、データベース化に着手した。GHQ文書は、日本政府、諸機関間で交わされた報告、協議、通達、記録であるため、GHQの歴史教育政策を調査にはGHQ文書の解読分析が不可欠である。まず、国立国会図書館が所蔵する膨大なGHQ文書のうち、教育・文化を担当した民間情報教育局(以下CIE)文書に対象をしぼり、『国立国会図書館所蔵GHQ/SCAP文書目録』を手がかりに、関連文書検索を行った。結果、316枚の文書を選別するに至った。ただし、CIE文書だけでも万を越す資料数であり、手がかりの目録にはタイトルしかなく、内容が分かる資料はなく、日付のみや無題の文書もあるため、1枚1枚目を通す必要があり、予想以上に時間を要した。そしてこの文書について、データベース化された際に和英どちらからでも用語検索可能となるよう和訳を行った。ただし、国会図書館所蔵の文書は、マイクロフィルム化されており、撮影が甘く文字の判別がしにくい箇所が多く、英訳にも予想以上の時間を要した。この問題については英訳者の数を増やし計画どおり進むよう対応した。マイクロフィルムはスキャンでの読み込みも不可能であったため、急遽英文打ち込み作業も行い、英単語検索にも対応できるようにした。現在、データベースの構築を進めている。 この研究の目的である国立博物館とGHQの関係の明確化は博物館史研究において新生面を開くものであるが、和英での用語検索可能な、GHQ文書のデータベース自体新しい試みである。博物館史研究の発展に十分寄与するものである
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