研究実績の概要 |
本研究は、占領期(1945年から1952年)における、連合国軍最高司令官(GHQ/SCAP以下GHQ)による歴史教育政策を調査し、国立博物館を中心に据えた歴史教育事業の成果とその意義について考察すること、かつGHQ文書のデータベース構築を目的とした研究であった。 平成24年度は、初年度であったため、研究に該当する文書の選出を行った。国立国会図書館が保管するCIE(民間情報教育局)英文文書の約30,000件について「museum(博物館・美術館)」「education(教育)」「exhibit/exhibition(展示)」「Imperial Household(皇室)」というキーワード検索したところ、約1万件の文書が該当したため、該当した全ての文書についておおまかな内容を確認した。英文文書と膨大な量のため内容確認には予想以上に時間を費やした。そして特に重要と思われる文書を約400件選出した。平成25年度は、選出した文書の内容をさらに確認し、「education(教育)」、「National museum (国立博物館)」に特に関係が深い文書を200件選出した。一般にはあまり知られていないCIEと国立博物館の関係を示す文書も含まれ、貴重な発見だと考える。その200件の文書について、国立国会図書館が所蔵するマイクロフィルムを紙媒体にして入手し、データベース構築のため、英文のデータ化および日本語翻訳を行った。そして文書内容について東京国立博物館が所蔵する歴史資料などと照合して調査分析を行い、CIEと国立博物館の関係、国立博物館と歴史教育事業についてその一部を明らかにすることができた。平成26年度は、最終年度のため、文書のデータベースの構築、一般公開を目指した(27年6月公開予定)。さらに調査分析結果報告を東京国立博物館研究誌『MUSEUM』に発表する予定である。
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