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2010 年度 実績報告書

X線CTによる九州所在彫像重要作例の三次元的解析

研究課題

研究課題/領域番号 22520167
研究機関福岡県立アジア文化交流センター

研究代表者

楠井 隆志  福岡県立アジア文化交流センター, 展示課, 研究員 (30446885)

キーワードX線CT / 三次元画像 / 美術史 / 文化財保存 / 九州
研究概要

平成22年度は、特別展で借用・展示した作品を中心に調査研究を進めることが出来た。
平成22年1月から2月にかけて開催した特別展「京都・妙心寺 禅の至宝と九州・琉球」出陳作品の調査を実施し、展覧会終了後、三次元画像による解析作業を進めた。九州所在彫像における南北朝時代の基準作例である、貞和4年(1348)制作の文殊菩薩騎獅像および四侍者立像(宮崎・大光寺重要文化財)の解析が実現し、基礎データが蓄積されたことは本年度研究の大きな成果となった。そのほかにも、17世紀制作の釈迦如来坐像および迦葉尊者立像・阿難尊者立像(福岡・福聚寺)は三尊とも脱活乾漆造であることがあらためて確認され、中尊釈迦如来坐像の体内に小材の丸太が納められていることも確認された。九州所在の脱活乾漆像は、これで7件確認されたことになる。
平成23年3月から5月にかけて開催した特別展「黄檗 京都宇治・萬福寺の名宝と禅の新風」出陳作品についても調査を実施した。九州所在作例ではないが、寛文2年(1662)に中国人渡来仏師・范道生が長崎で制作したと推定される萬福寺の白衣観音坐像(脱活乾漆造)の調査を実施した。頭部と胸部のみの調査となったが、その範囲では納入品の存在は確認されなかった。また像内には、奈良興福寺の阿修羅立像をはじめとする奈良時代制作の乾漆像のように心木や横桟・棚板などは取り付けられていないことが判明した。17世紀中国における乾漆像制作技法の解明につながるデータが得られた。また、元禄11年(1698)に中国から舶載されたことが明らかな長崎・聖福寺の木造釈迦如来坐像の像内に金属製五臓が納入されていることが確認できた。納入品がまだ取り出されていない状況を具体的に知ることが出来る初の例となるだろう。そのほかの出陳作品についても展覧会終了後順次解析を進めてゆくつもりである。
これら特別展出陳作品の調査結果については、九州国立博物館紀要『東風西声』等に九州所在彫像の基礎資料として広く公開するつもりである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 〔調査報告〕滋賀県下所在彫像のX線CT調査2011

    • 著者名/発表者名
      楠井隆志
    • 雑誌名

      滋賀県立琵琶湖文化館 研究紀要

      巻: 第27号 ページ: 11-15

  • [雑誌論文] 福岡市・博多善導寺所蔵 善導大師像-九州所在木彫像基礎資料三-2010

    • 著者名/発表者名
      楠井隆志・鳥越俊行
    • 雑誌名

      九州国立博物館紀要 東風西声

      巻: 第5号 ページ: 21-34

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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