研究課題/領域番号 |
22520169
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
高木 元 千葉大学, 文学部, 教授 (00226747)
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キーワード | 十九世紀小説 / 絵入小説 / 草双紙 / 文学史 / 出版史 |
研究概要 |
本研究計画の二年目に入り、取り敢えず今までに蒐集した画像データから書誌データを作製しデータベース化する作業に取り組んだ。しかし、調査データが機関ごとに偏在しているので、所在情報の調査に力を入れた。 国文学研究資料館のマイクロ資料目録は大変に重宝であるが、画像データの公開が遅れているのと、独自のビューワを強要するインターフェイスが、殆ど実用の域に達していないのが難点である。その点、早稲田大学図書館は迅速で使い易い上にPDFで公開されており、『国書総目録』に載っていない柳田文庫をはじめとする資料類は大変に貴重である。国会図書館の「近代文学ライブラリ」も多少の使いにくさはあるが、容易にアクセスできるので重宝している。一方、架蔵する切附本については立命館大学アートリサーチセンターで撮影し公開されているが、今年度までの新収資料についての撮影と公開をお願いし、大方の利用に供された。 一方、管見に入った範囲で、二代目岳亭梁左の著編述書目の調査結果を発表した。近々、全南大学校文化社会科学大学の康志賢氏の手によって全体像が明らかにされるはずである。これは明治期合巻などを含むもので近世近代を架橋する仕事である。 明治期草双紙に関する内容的な研究にも着手したが、掲載されている新聞の名前や年月日が不明なものが多く、実際に通覧して確認するしかない。その上、初出の掲載紙であると思しき「さきがけ新聞」などを揃って所蔵している機関がなく、調査が難航している。先行研究に見られる初出が個人蔵なのかもしれないが、なお博捜に努めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
明治期資料の所在情報を得ることが予想以上に難しい。近世以前のように『古典籍総合目録』のごときユニオンカタログが存在しないからである。CiNiiやwebcatをはじめ、実際に各大学図書館のOPARCで検索して始めて分かる場合も多く、手間暇が掛かる。尤も、だからこそ本研究テーマの「絵入本データベース」が必要なのである。なお一層、情報の蒐集と調査に精を出したい。
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今後の研究の推進方策 |
散在する明治期絵入本の所在情報を蒐集し、実際に足を運んで書誌調査するという作業は、インターネット上での所在情報や画像データの公開が進むにつれて、楽になってきたとは云えよう。しかし、その一方で、所在情報が一元的に入手できない場合が少なくなく、偶然性に依拠することが増えてきた気がする。当面する課題は、たとえば見付からない明治初期の新聞資料などの扱いである。これらの資料こそブラウジングが可能な軽い画像データとして公開して欲しいものであるが……。今年度の進捗次第では、最終年度前年度申請をして研究計画を再構築する必要が在るかも知れない。
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