今年度の研究内容として、11月後半の交付決定を受けて昭和期「時事新報」のマイクロフィルム(雄松堂)を購入し、その文芸欄を中心とした文芸関係記事・広告のデータベース作成と分析という取り組みに着手したことが掲げられる。 「時事新報」文芸欄のデータベースとしては池内輝雄編『時事新報目録文芸篇大正期』(2004年、八木書店)という研究がすでに存在している。これは大変な労作であるが、書名に見るようにデータが大正期に限られたものである。一方、『時事新報』自体は昭和11年まで存続していることから、昭和期の文芸欄を中心とした文学・文化関連のデータベース作りとその分析とが学界においても期待されているところであり、本課題はそこに取り組むものである。 平成22年度においては、交付決定を受けてただちに「時事新報」マイクロフィルムを購入し、到着してからは学内のマイクロリーダーを活用して、データベース作りに着手した。交付決定が11月であったことから研究開始が遅くなり、実質的な研究時間が限られたものとなった。そのため、残念ながら年度内にまとまった研究成果を公開するには至らなかった。しかしまとまった年数のマイクロフィルムを購入し、またデータベース構築に際する実際上の手順や問題点を浮き彫りにすることができた。そのため、平成23年度においては、アルバイトの依頼等によってデータ収集の効率化を図ることとした。これにより、ある程度まとまったデータを公開できる目処が立つに至った。
|