研究課題/領域番号 |
22520179
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研究機関 | 国際日本文化研究センター |
研究代表者 |
荒木 浩 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (60193075)
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キーワード | 徒然草 / 本文論 / <古典>と受容 / 随筆 / 方丈記 / 禅宗的環境 |
研究概要 |
1)国文学研究資料館所蔵高乗勲文庫の『徒然草』関係資料の調査を継続して行い、主要なものについては撮影等を行った。なお、国文学研究資料館では所蔵典籍についての目録化、電子化、デジタル画像公開を、この年度にも飛躍的に行い、高乗文庫についても、基本的な文献についてはデジタル化が進められたため、作業は今後、個別の文献の分析・研究に集中する方向で進む予定である。 2)国会図書館や国文学資料館を中心に、金沢市立玉川図書館近世史料館などをも訪問し、『徒然草』の本文・注釈・受容資料についての調査と情報収集を行い、分析を進めた。 3)『徒然草』に関する研究情報の蒐集を継続し、小松操の研究成果について、整理と把握を進めた。 4)『徒然草』の時代と作者の関わりについて、禅宗の視点からの考察を進め、「『仏法大明録』と『真心要決』-『沙石集』『徒然草』の禅宗的環境をめぐって」という論文にまとめた。 5)『徒然草』古典化に前提し相即する重要な関連文献である『方丈記』の考察も進め、その一端を「『方丈記』の文体と思想-その結構をめぐって-」という論文に書き、また関連する問題を新聞のコメント(『朝日新聞』大阪本社夕刊、「流れは絶えず方丈記800年3」、2012年1月6日)として発表した。 6)2011年8月、タリンで開催された第13回EAJS国際会議に参加し、本研究課題に密接に関係する国際的研究についての情報を収集し、また各国の研究者と研究交流を行った。またかつて『徒然草』の記載を軸に考察した源隆国『安養集』の問題を軸に、中国人民大学の国際学会で発表し、関連の研究交流と情報交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究実績は、概ね交付申請書記載の「研究の目的」に即して行われ、「研究実施計画」を一つ一つ着実に遂行するかたちで行われたため。
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今後の研究の推進方策 |
国文学研究資料館の高乗文庫を始めとして、対象とする研究機関に所蔵する資料の電子化(目録、画像、データベース等)が急激に進みつつあるため、情報収集の簡便化と、さらなる情報蓄積が可能になった。研究の方向を整理して、より高度な研究を進めることをめざしたい。 また、『徒然草』の定位のために、古典における「随筆」概念の再構築が必要となるが、そのための関連研究として、『方丈記』や「中世の随筆」などをめぐっていくつかの研究推進を平行して進めている。この問題も、今後の重要なテーマ性の中に意識し、本研究課題進展と拡大につとめたい。
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