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2011 年度 実績報告書

活字組版の解明を基盤とする平仮名交り文古活字版の分析書誌学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22520180
研究機関奈良女子大学

研究代表者

鈴木 広光  奈良女子大学, 文学部, 教授 (70226546)

キーワード書誌学 / 古活字版 / 嵯峨本 / 活字 / 組版 / 書体
研究概要

平成23年度は古活字版『徒然草』の印字悉皆調査および活字規格の算出、活字総数の確定を目標とし、これらに関して以下の成果を得た。
(1)22年度から行なっている嵯峨本、国文学研究資料館蔵『徒然草』のデジタル画像データから、印字を活字ごとに矩形で切り出し、電子付箋に調査項目を付して印字総数、活字種の数、印字寸法、文字連続の仕方、語・文中における使用環境等の基礎的情報を蓄積する作業を完成させた。活字同定と総数の確定は未完成だが、活字規格は算出できた。この結果、整数倍格のほか1・5倍格という他の古活字版に見えない特徴が見えることが判明した。
(2)印字画像切り出しの際に得た電子付箋データを総合化し、印字画像とリンクした形のデータベースの作成に着手した。
(3)古活字版の組版想定図を作成するにあたって、活字規格や組版方法のヴァリエーションにどのようなものはあったのかを詳細に知るための意、漢文や漢字片仮名交り文の古活字版も視野に入れるため、古活字版の零葉集を研究費で購入し、計測した。
(4)古活字版における活字セットと異版の関係について論じた「嵯峨本『伊勢物語』慶長十三年第二種本の活字と植字組版について」、近代活版印刷術にまで通底する仮名の活字化の問題を古活字版におけるそれと絡めて論じた「開化の軋み」の論文二編を全国誌に発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

交付申請書に記載した事項のうち、ほぼ全ての事項は遂行し得ている。目標として記した組版想定図の2DCGの作成にはまだ着手できていないものの、これは活字規格や組版原理にさまざまなヴァリエーションがあることが成果として、明らかになったため、それらを反映させてより精密なものを作成するためであり、スピードは遅れたが、内容的により先に進んだと自己評価する。

今後の研究の推進方策

(1)烏丸本『徒然草』の活字と組版については、既に他の研究者によって成果が公表されたため、それを追認あるいは微修正する方向に研究計画をシフトせざるを得ない。烏丸本を総合的考察の対象から外すことはしないが、印字標本集については、国文学研究資料館蔵本を中心に進めることにする。
(2)これまで切り離して考えてきた漢文および漢字片仮名交り文の古活字版の活字規格・組版と平仮名交り文との関係、さらにキリシタン版を視野に入れた総合的考察が必要であることが、23年度の古活字版零葉集の調査から明らかになった。24年度はこちらに重点を置いて、研究をまとめていくことにする。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 嵯峨本『伊勢物語』慶長十三年刊第二種本の活字と植字組版について2011

    • 著者名/発表者名
      鈴木広光
    • 雑誌名

      汲古

      巻: 59号 ページ: 25-30

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 開化の軋み-揺藍期の日本語タイポグラフィ-2011

    • 著者名/発表者名
      鈴木広光
    • 雑誌名

      文学

      巻: 12巻3号 ページ: 154-168

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公開日: 2013-06-26  

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